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鰻と老人と僕

   風が吹きバイパス沿いの店々の幟はためき逃げられない「う」  丑の日に鰻を食べる人々がテレビに映りすべて老人  我々は絶滅危惧種を食い尽くすドードー鳥もネアンデルタール人も  老人に精力がついて長生きし我々は弱り鰻は死滅  老人は鰻食みつつこう述べる「持続可能な社会など無い」  三千円や四千円する鰻重を老人が食い回る経済  本当は鰻が絶滅しようがしまいがどちらでもいいと思っている  鰻が本当は食べたいのに高くて手が出ないから食べている老人がただ憎いのだ  そのため意識の低さみたいな理論武装をし鰻を食べることを批判している  老人が鰻を食べる夏の日に僕らは鰺の干物を食べる  

陰核と陰唇のポルカ

  陰核に会えるチャンスが今回を逃すとまたも十八年後 陰唇は向かって右が恋ごころ向かって左が愛する心 陰核を巡って火花を散らし合うふたりは二卵性双生児 陰唇にかける言葉は見つからず立ち尽くすしかできない我は 陰核が木々の間を跳躍す野生の姿を初めて目にした 陰唇とかつて交わした約束を守れなかった我の未熟さ 陰核の握った寿司が一番だやっぱり引退しないでほしい 陰唇を誰にも気づかれないように故郷の川に返してやろう 陰核とともに暮らした日々ばかり思い出してる終末医療 陰唇が旅行みやげにくれるのはいつも現地の河原の小石  

陰茎と陰嚢のタンゴ

   陰茎が十八センチの君となら遠恋だって寂しくないよ  陰嚢の皺を数えて日が暮れて今夜は悪夢を見ずに済むかな  陰茎とフォルムがよく似た大便に朝から心がかき乱される  陰嚢と花と草木とお日様と空と大きな鳥の羽ばたき  陰茎になるべく早く届くよう速達分の料金を足す  陰嚢がスパゲッティを作ったらたぶんこんな味なんだろう  陰茎は学生時代サッカーの県代表に選出された  陰嚢にふたりの母がいることをクラスで私だけが知ってる  陰茎の太さと硬さと長さだよ香りのことは訊ねてないよ  陰嚢は雨どいの下で泣いていたところを無事に保護されました